大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和56年(カ)21号・昭41年(ワ)2333号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

一 まず、裁判上の和解の無効を再審事由とする訴えの適否につき考える。

再審原告は、東京地方裁判所昭和四一年(ワ)第二三三三号事件につき昭和四二年一二月二五日成立した裁判上の和解は、再審原告の訴訟代理人が和解をなすに必要な代理権を欠いていたこと等によつて無効であると主張する。そして再審原告の右主張自体は、訴訟代理権の欠缺をいう限りにおいて民訴法四二〇条一項三号所定の再審の事由に該当するものとみえなくはない。しかしながら、裁判上の和解は一の行為ではあるが、一方においては私法上の法律行為であると同時に、他方においては訴訟上の行為であり、私法行為と訴訟行為の両性質を併有しているのであつて、裁判上の和解に私法上の無効原因を存するときは、訴訟法上の効力も生ぜず、確定判決と異なり再審の訴えにより取り消すまでもなく当然無効となるものである。従つてかかる無効の原因が存する場合には再審の訴えは認められないものと解すべきである。そして再審原告主張に係る場合の和解もまた、右主張によれば、私法上の無権代理行為によりなされたというのであるから、そうである以上再審原告本人に対しその効力を有せず、また、これを調書に記載しても訴訟上の効力を生じない当然無効のものというべきであるからこれに対する再審の訴えを許すべきではないのである(昭和七年一一月二五日大審院判決、民集一一巻二〇号二一二五頁参照)。

(仙田富士夫 日野忠和 高部眞規子)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!